「あうん」争議の終結について


「あうんマチ針事件」に関する当組合からの情報更新が滞っていたため、この問題に関心を払っていただいた多くのみなさんにご心配をおかけしたことをまずはお詫びします。そしてこのたび嬉しいご報告がありますのでぜひお読みください。

2017年3月7日付で、当組合と「企業組合あうん」との間の争議に関する和解が成立しました!

和解に至ったのは、2015年12月に「企業組合あうん」で発生した「マチ針」事件です。会社から渡された封筒への大量の「マチ針」混入という被害を受けた従業員が、会社に原因究明と対策、補償を求めた事件です。「あうん」が採用する協同労働は、従業員自身も経営に携わり責任を負う働き方です。しかしだからといって職場での事故・事件の責任を被害者に負わせれば責任問題はあいまいになります。責任をあいまいにすれば、今後も事故・事件の発生は抑止できず、従業員の安全は脅かされることになります。このことを当組合は一番危惧しました。
「新しい働き方」においても事故・事件は発生します。「新しい働き方」においても従業員間のハラスメントは発生します。だからこれらをあり得ないものとして否定するのではなく、あり得ることとして対応することが必要です。そのため組合は、職場に無責任を横行させれば誰も安全に働くことなどできなくなることを訴え問題解決に取り組んだのです。
労働者に危険が及ぶ事故・事件が発生した場合に職場が行うべきは、その原因を徹底的に究明して原因を取り除くこと、事後であっても事故・事件が起こってはいけないものであると明確に表明することです。これは労働安全衛生における大原則です。当組合はこの原則に立ち、「あうん側」と数次にわたる団体交渉を開催しました。
ところが交渉では解決せずにこじれ、あうん側が従業員の職場復帰を認めないという事態に至っていました。そのため本件について当組合は交渉による問題解決は不可能と考え、「あうん」に争議状態への突入を通告して、本件の解決に向けた社会的な支援をみなさんに呼び掛けることになりました。

そして昨年12月、「企業組合あうん」は当組合との紛争について東京都労働員会にあっせんを申し立てました。当組合はこれに応じ、東京都労働委員会の立会いの下、「企業組合あうん」との間の紛争の解決について3次にわたる協議を続けてきました。その結果、冒頭に記したように本年3月7日に和解協定書を交わす次第になりました。

和解内容を非開示とする「あうん」側の求めによって、どのような条件での和解が成立したのかを詳細にお伝えすることができないのは残念です。また、和解の実質を確保するために当組合は「協同労働と労働組合」に関する集会の共催を呼びかけましたが、「あうん」側がこれを拒否したため、公的な場で紛争当事者が本件を振り返りつつ運動的な教訓を残していくことができません。しかし和解は、被害当事者の名誉を守り、最低限の生活保障を可能とするものであったことをお伝えします。
これからも当組合と企業組合あうんはさまざまな政治的、社会的な運動の場を共有していくことと思います。互いに運動的な姿勢で協力関係を築いていくことになりますのでよろしくお願いします。また重ねて本件紛争に多くのみなさんからの激励とご支援をいただきましたことの感謝を述べさせていただきます。ありがとうございました。

2017年3月12日
フリーター全般労働組合