とある祭で

先日『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(光文社)の著者である城さんと少しだけ立ち話をした。
彼は若い人が早期退職する大きな理由は、年功序列制度を堅持する正社員による既得権保護に大きな原因があると言う。

私が新卒で勤めた企業は、私が所属した15名程の部所で、私の次に若い営業の方が38歳だった。ちょうどバブル期入社組(雇用の団塊の世代)である。以降採用された人間は多くはなく、彼らは同業他社の外資に転職したり、その企業を去っていた。そして、その上にはいわゆる平社員で5名ほど40代前半の社員が並ぶ。全社の平均年齢は42歳だったそうだ。

彼の話が痛いほどよく分かった。

熟練の社員が企業に残り、メンバー全体のレベルは上がる。その中に何も知らない、何も出来ない新卒が入れば極端に仕事ができない。しかし、早期に他のメンバーと同等に近いパフォーマンスを求められる。

ハッキリ言ってよほどの素質がないとムリだ。

先の企業の場合、たとえ早い段階から活躍できたとしても「雇用の団塊の世代」が退くまで、ポストやそれ相応の昇給は見込めないであろう。その間彼らの高止まりした給与を支え続ける。

これで辞めない人間が不思議なくらいだ。

彼はこういった問題や、非正規雇用問題を解決するには同一労働同一賃金を原則とした職能給に切り替えるべきだと言う。

激しく同意する。

さらにこう付け加える。
そのためには正社員層を対象とした労働条件の不利益変更を合法化すべきだと。

そう。それはのどから手が出るほど言いたかったが言えない言葉である。正社員と言えども労働者だ。非正規層が感情に任せて不利益変更を叫べば、それは労働者どうしの内ゲバであり、政府・財界が意図する分断統治の構造にまんまと乗せられてしまう。

そして彼は労働条件の不利益変更を行わずに、「アンシャン・レジーム」から脱皮するには20年はかかると言う。
個人的には多くの大企業が脱皮する前に、ハゲタカにでも喰われると思うのだが。

くせもの