仙台でも交渉中!有限会社リラックスのリフレクソロジスト

時給制パートのはずが請負に?! 団交も拒否! で、宮城県地方労働委員会に不当労働行為救済申し立て中

報  告                          2008.12.24
宮城地労委「リラックス不当労働行為救済申し立て事件」 
申立人代理人 T.S.
申立人保佐人 A.T.

1. 仙台市在住のOさん及びにSさんは求人雑誌の広告を見て、同市に本店をもつ「有限会社リラックス」のリフレクソロジストとしての業務に応募し、共に2008年6月10日に入社となった。Sさんは、6月10日入社し、その日から7月1日まで研修を受ける。しかし、経験のあるOさんは、急遽、6月7日からの勤務に変更になった。研修期間中の時給は、2人共に700円だった。求人広告には、時給制のパートであるとかかれていたにもかかわらず、Oさんは6月8日、Sさんは、入社後まもなく、会社から「給与は完全歩合給」であると告げられる。完全歩合給では、生活が厳しいため、2人はその後抗議し、Oさんは最低保障日額として6000円、Sさんは5000円を約束される。
しかし、Oさんは、労働契約書が交わされず、賃金がなお不明確だったため、翌月の7月25日、現場責任者であるF氏に退職を申し出たが、引き留められ、一応働き続けることとした。7月29日、Oさんは依然として労働契約書が交わされないので、社長に直接退職を申し出る。これに対し、社長は「退職するのであれば、6,7月分の給料は支払わない。」と返答したので、Oさんは退職できない状況に追い込まれた。Sさんも、労働契約書が交わされないことを主な理由として、同日7月29日、F氏に退職を申し出た。後にSさんは社長から電話で、契約書を交わしてから退職届を出すよう言われる。なお、労働契約書は最後まで交わされなかった。Sさんは、8月7日に、8月31日付の退職届を書面で提出し、受理された。しかし、Sさんは、以前退職した従業員たちに賃金を払われていない者がいることを知り、自分についても同じ状況になるのではないかと不安を抱く。
一方、Oさんと会社との間には、労働契約書ではなく「業務委託契約書」が交わされ、会社側が原本を所持した。Oさんには、8月1日、この契約書の複写が交付されたが、この複写には、「月間売上250,000円達成の事」など、Oさんに不利な内容が付け加えられていた。

2. 8月4日、Oさんは不当な契約に関して労働基準監督署に相談した。Oさんは、相談員からの助言で、会社に対し、8月12日を回答期限とする「業務委託契約書」に関する質問書を提出した。この質問書に対する回答は現在もない。Sさんは8月6日に賃金確保に関して労働基準監督署に相談した。
8月18日、Oさん及びSさんは清水執行委員長と面談しフリーター全般労働組合に加入申請した。
8月22日午前、フリーター全般労働組合労働基準監督署に対し、Oさん及びSさんが受託者や請負人ではなく労働基準法の保護を受ける労働者であり、不当な「業務委託契約」を行い、賃金不払いをほのめかし退職の自由を認めようとしない有限会社リラックスを取り締まるように申し入れた。
8月22日午後、Sさんは、社長より電話で「勝手に研修しに来ていただけなので、賃金は支払わない。」という発言を受ける。
8月25日、組合は、2人の賃金の支払いと、退職の自由を要求する団体交渉の申し入れを行った。しかし会社が無視したので27日に書面で団交開催を催促したが、会社はこれに対しても、回答期日の8月29日正午まで回答しなかった。この時点で団体交渉拒否が明らかとなり、8月29日夕刻、フリーター全般労働組合宮城県労働委員会に対し不当労働行為救済の申し立てを行った。

3. 11月16日、会社と組合、双方の主張を公益委員が聞き取りをする、第一回調査が行われた。まず、組合側は、労働委員会に対する不当労働行為救済申し立てを正当なものとする根拠、つまり、Oさん及びSさんと会社との間には、労使関係があるということを主張した。(Oさんと会社との間には、労働契約書ではなく「業務委託契約書」が交わされていた。)2人は、現場監督者の指揮下で働いており、出勤時間や休日は、シフト表によって決められていた。また、労働する場所も定められていた。以上の労働実態から、2人は、労働基準法で定められている労働者であって、労働基準法が適用されると。よって、労働者である以上、Oさん及びSさんには組合への加入、さらに組合には、Oさん及びSさんの労働条件に関する団体交渉権が認められる、以上のように主張した。
 これに対して会社側は、業務委託という労働形態については、双方とも合意済みであったこと。契約書を交わすことを渋ったり、退職した他の従業員に対しても、OさんとSさんに対しても、給与不払いをほのめかしたりしたことはない、とこちらが主張する事実関係を否定した。組合と会社の主張は全く折り合わなかった。
11月18日に行われた第二回調査では、公益委員が争点を整理した。そして、12月10日に行われた第三回調査では、和解案が検討されたが、和解は不成立に終わる。次回は1月14日に第4回調査が行われ証人尋問等の立証計画が作成される予定である。組合は引き続き団交拒否の事実を明らかにし、リラックスの不当労働行為に対する救済命令を求めていく方針である。
本件は企業が直接雇用し労働法の保護を受けるべき労働者を委任契約で働かせ、不当な取り扱いを行っている企業を許さない闘いである。現在、法的保護がないまま金融危機を口実に切り捨てられる大量の派遣労働者をはじめとする有期雇用労働者の人権と働く権利を守る全国の闘いと共に勝利させていきたい。

以 上