ベローチェへの反論

カフェ・ベローチェ、コーヒーハウスシャノアールなどを運営する株式会社シャノアールは、昨年3月、突然アルバイト従業員を4年で契約満了(解雇)する制度を導入しました。また、すでに4年以上勤めていた120名のアルバイト従業員を今年の3月15日に一斉に雇止めしました。
これに対し、フリーター全般労働組合では、抗議と要求をしてきました。(3月31日付ブログ参照)

シャノアールは組合の要求に対し、2月28日付回答書において、アルバイト従業員の雇止めを「会社が事業運営する上でコンプライアンス則って実施する」と回答してきました。

また、「所謂『ゆとり世代の第一世代』」は、「退職率が高い」「精神疾患罹患率が高くなっている」などと回答してきました。(2月28日付、3月4日付ブログ参照)

これに対し、下記のように反論しました。

回答期限は、1ヶ月後です。

今後もご注目を宜しくお願いします!





東京都豊島区東池袋3−1−1                 2013年6月5日
サンシャイン60ビル45階
株式会社シャノアール
代表取締役社長 中村 歩 様
総務人事部部長 小和田 二郎 様

〒151-0053 東京都渋谷区4−29−4
西新宿ミノシマビル2F フリーター全般労働組合
TEL 03−3373−0180
FAX 03−3373−0184
共同代表 山口 素明
組合員 ●● ●●


                    反論書

先日は、1月30日付要求書にご回答頂きありがとうございました。
しかしながら、その内容は、到底受け入れられるものではありませんので、下記の通り反論致します。

                     記
1.「はじめに」について
一般的に離職率精神疾患罹患率は、当該企業の労働環境や経営状態に大きく左右される指標です。長時間・過密な労働、セクハラ・パワハラの横行になんら対策を取らずに放置する企業においてこれらの指標は高まります。したがって、企業においては、従業員が安全に就労できる環境を整備する義務に鑑みて、これらの指標を低下させるための努力が必要なことは、貴社は十分にご承知のはずです。ところが貴社回答書は、「退職」と「精神疾患への罹患」の多さを一義的に特定世代の特徴と見なしています。組合は、当該組合員の労働環境の改善を求めてきましたが、貴社は従業員に課した労働環境を何ら省みることなく、離職と精神疾患への罹患の原因を従業員の世代的な特質に求めているのです。
そもそも特定世代の従業員の傷病として「精神疾患への罹患」をことさらに持ち出すことに当組合は驚きを禁じ得ません。従業員の傷病には、打撲や切創、感染症など、さまざまあるはずです。にもかかわらず「精神疾患」を特定世代の特徴とすることに、その世代と精神疾患に関する貴社の強い偏見が現れています。組合はこれらの貴社の姿勢を、まともな企業経営者としての責務を理解していないものと評価せざるを得ません。ここに強く抗議するとともに、以下を質問致します。

 貴社回答書は、●●組合員の「同期入社社員の退職率」が他の年次に比較して「比較的高率」であるとしています。

1●●組合員の「同期入社社員の退職率」についてお示し下さい。

 また同回答書で貴社は、●●組合員の「1年後入社の2年間での退職数は、累計で入社人数の24%」とした上で、「入社社員の90%以上が女性社員であることを考えると多くの社員が退職しているという分析は当てはまりません」としています。

2入社後2年間で「累計で入社人数の24%」が退職する理由について貴社の見解をお示し下さい。

3「入社社員の90%以上が女性社員であることを考えると」なぜ多くの社員が退職しているという分析が当てはまらないのか、貴社の考えをお示し下さい。

4●●組合員の同期入社社員、およびその1年後入社の性別累計退職率をお示し下さい。

5貴社従業員の退職率が性別によって有意に異なるのなら、その理由について貴社の考えをお示し下さい。

6従業員の退職を防ぐために貴社がどのような取り組みを行ってきたのか、お示し下さい。

さらに、貴社は、「特に●●社員の同期入社の方々は、所謂『ゆとり世代の第一世代』と呼ばれており、各社退職率が高いことと、精神疾患罹患率が高くなっていると言われており、各社対応に苦慮されているお話を聞くことはあります。」としています。
 
7貴社における「ゆとり世代」の定義をお示し下さい。

厚生労働省の調査によれば、「宿泊業・飲食サービス業」の離職率は、2009年卒業が48.5%、2010年卒業が40.1%、2011年度が24.1%です(「新規大学卒業者の産業別分類別(大分類)卒業後3年後の離職率の推移)。しかしこれは、2010年卒業については就業2年後、2011年卒業については就業1年後を記載したものです。つまり、行政のデータでは、まだ比較ができる段階ではありません。にもかかわらず貴社が「ゆとり世代の第一世代」が「各社退職率が高い」と判断した根拠をお示し下さい。

9「ゆとり世代の第一世代」について、「精神疾患罹患率が高くなっている」と貴社が判断した根拠をお示し下さい。

10「ゆとり世代の第一世代」について、「各社対応に苦慮」していると貴社が判断した根拠をお示し下さい。

1貴社が定義する「ゆとり世代の第一世代」について、貴社は他の世代と比べてどのように異なる対応をしてきたのか、「苦慮」の結果をお示し下さい。

2.「アルバイト従業員の雇い止めの撤回」について
 貴社は、2月28日付回答書において、「今回の制度導入に該当する方は、約120名」であることを明らかにされました。貴社はこれを「コンプライアンスに則って実施するもの」であるとしていますが、2013年4月1日に改正された労働契約法18条の有期雇用労働者の無期雇用転換を逃れるための脱法行為としか言いようがなくコンプライアンスに則しているとは到底言えません。
貴社は、契約社員の契約更新の限度を5年と定めていますが、これも、無期雇用転換を逃れるための制度であると組合は判断します。
 有期雇用は労働者にとっては全くメリットのない雇用形態です。アルバイト、契約社員ともに、無期雇用すべきです。貴社のアルバイト4年雇止め方針の撤回を引き続き求めるとともに、以下を質問します。

1貴社は、アルバイト従業員の雇止めの理由を「新任店長にとって運営しやすい環境づくり等」としています。長年店舗を支えてきたアルバイト従業員を120名も雇い止めすることが、なぜ新任店長にとって運営しやすい環境になるのか、具体的にお答え下さい。
 
また、貴社回答書には「本当に当社のアルバイトで生活を支えているのであれば、契約社員への応募等の道があります。」とあります。

2それを、対象者に示しているのか、お答え下さい。

契約社員への応募希望者は全員、無条件採用されるのか、お答え下さい。

3.「月単位の変形労働時間制について」
 変形労働時間制は、労働基準法に定められた制度ではありますが、貴社の運用方法は、その主旨を逸脱するものです。1987年1月1日付の都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長、労働省婦人局長通知には、下記のように記されています。

   変形労働時間制は、労働基準法制定当時に比して第三次産業の占める比重の著し
い増大等社会情勢の変化に対応するとともに、労使が労働時間の短縮を自ら工夫
しつつ進めていくことが容易となるような柔軟な枠組みを設けることにより、労
働者の生活設計を損なわない範囲内において労働時間を弾力化し、週休二日制
普及、年間休日日数の増加、業務の繁閑に応じた労働時間の配分等を行うことに
よって労働時間を短縮することを目的とするものであること。

 貴社が業務の繁閑に応じて変形労働時間制を導入しているとは言えないと組合は考えます。貴社は労働者に支払うべき残業手当の節約のために導入していると組合は評価します。
  
 さらに、「会社は一定時間以上の店長の労働時間が見られるときは、その上司より改善報告を求めて、日常化することを防止しております」とのご主張ですが、●●組合員の勤務する店舗では、店長の閉店勤務翌日の開店勤務や開店から閉店までの長時間勤務が日常化しているのが現状です。
 月単位の変形労働時間制の廃止を引き続き求めます。

4.「店舗スタッフの人員増」について
 貴社回答書には、「正社員からアルバイトに至るまで、有給休暇の取得率はかなりの勢いで増加しております」とあります。しかし、●●組合員の勤務する店舗において、アルバイト従業員の有休休暇の取得は皆無です。従業員が有休休暇を取得し易い環境を整えることを引き続き求めるとともに、以下を質問します。

1従業員の有休休暇の取得率は、いつと比べて、どれくらい増加しているのでしょうか。具体的なデータをお示し下さい。

2有休休暇の発生したアルバイト従業員に、どのような方法で発生したことを伝えているのか、お答え下さい。



 以上、ご検討の上、2013年7月5日18時までに郵送またはファクシミリで回答して下さい。また、ファクシミリでご回答の場合も後ほど回答を郵送して下さい。

以上