「東北地方太平洋沖地震緊急支援市民会議・第5次トラック隊」報告その1

組合員の北島が参加した「緊急支援市民会議」被災現地支援トラック部隊(隊長 長船青治さん)第5次トラック隊の報告を、同じく参加した塩見孝也さんがなさっています。塩見さんの了承を得たので転載いたします。(数字を全角から半角になどの校正が若干あります)
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原発地震津波の三重苦災禍の福島県お見舞い記 ―――「東北地方太平洋沖地震緊急支援市民会議・第5次トラック隊」報告その1(4月23日)    塩見孝也

 その1.4月23日(土)

1、僕は自然災害にしても、原発禍にしても、その責任追求としての民衆の大衆的政治闘争を重視する者ですが、そうだとはいえ、現実に苦しんでいる民衆を救援する行動なくしては、こういった行動も”虚業”に変質する危険を有すると考えています。

その意味で、立ち上げられた「市民会議」の生鮮野菜や水、タオルらを被災地の人々に届ける活動こそ、紛れもなく、”実業”として尊貴する者です。被災地の人々にありがたがられ、役に立てば、こちら、救援する側も元気、幸せ感をもらい、政治闘争にも精がでます。

僕は、前回第4次の石の巻の際は、仕事の都合で、行けず、仕分けの手伝いだけでしたが、今回はトラック隊の一員として端っこに乗りました。
23(土)、9時、四谷事務所集合ということで、7時に家を出て、8時半に出向きました。
今回は、常連の長船清治隊長、もう一人のドライバー、北島教行(通称,サブロウ)さんとの3人組で、4.23〜4.25の2泊3日です。 

某政治グループの取材を受けた後、9:30頃出発。トラックは長年の「阻止の会」のロシナンテ役を果たすコンテナ車、1トン半近くのパルシステムから提供された野菜類と他からのタオル。パルシステムに重ね重ね感謝。

特殊装備として、2種類のガイガーカウンター、一種はタンポポ舎より借用、もう一種を、ある人から、行く途中で貸していただき、いざ、東北自動車道へ。常磐道は未だ不通。
タンポポ舎のは、単位はCPM。(これに、0.008を掛ければマイクロシーベルト毎時となる)。 もう一つのはロシア製、これはマイクロシーベルト、毎時。出発の際は、19CPM。

2、東北自動車道を宇都宮、白河、郡山と走り、二本松で高速を降り、二本松市の東和体育館に到着。午後5時前。 ここは、福島県浪江町の被災者の人々が緊急避難していたところで、4〜5日前この人々は、近隣の各ホテルに第二次避難し、分散して行きました。今は緊急支援物資の集積所になっており、かつ浪江町の人々の仮市役所となっています。

 
職員の方に事情を伝えたところ、歓迎され、まずタオル類を卸す。浪江町の住人で、第一次避難をした人たちで、役所手続きをしたり、ものを取りに来た人たちが、かなりな数、居られ、その人たちに生鮮野菜を受け取っていただきました。イチゴ、トマト、ほうれん草、タケノコ、夏みかん、ニラ、ピーマン、なすび、ジャガイモらら。放射能汚染で、野菜、果物らは不足していましたから、大歓迎されました。

僕らは、これで大いに気合いが入り、気を良くし、一気に飯館村浪江町葛尾村沿いの国道114号線を東進し、海岸沿いの6号線に出て、目指す南相馬市、原町の市役所に向かおうとしました。ところが、この試みはすぐに挫折しました。


6号線は、既に規制が入り、20キロ圏内にかかり、通行止めということで、横浜から来ていた警察官達に、その手前で追い返されました。引っ返して、それでは南相馬市に入るにはどの道を選ぶか、北側の県道62号線を東進することとしました。



県道62号線は阿武隈山系を通る、山又山の、山道とかわらない、昇ったり、下ったりのデコボコの砂利道、泥道なのです。これは僕ら3人には物の数では、なかったのですが、脅威となったのは別のことでした。

引っ返し途中から、計測器が強烈に赤ランプとなり、ひっきりなしに危険信号音を鳴らします。その数値は、ナント、3300CPM(26μSv/h(マイクロシーベルト毎時))、ロシア製は、9.99μSv/hまでは計測されますが、それ以上は針が振り切れてしまいます。そして、事実、振り切れてしまったのです。全くの予測もしなかった脅威が僕らを襲っていたのでした。

考えてみれば、この辺りは、新聞をにぎわす飯館村浪江町の近くで、山間部とはいえ、盆地上の地形であり、放射能が滞留しやすい地域であったわけで、それでこんな数字が出てきていたわけです。

さてこの事態を迎えつつも、それから、2時間、僕らが「深山幽谷」の中、強烈な放射能を浴びつつも、僕らは、ひとつも怯まず、ランドクルーザーでしか、踏破できないような山道を突っ切って進んで行ったのでした。

いかにして、南相馬市、原町に行き着いたかについての報告は次回、報告、その2とします。

お楽しみに。