茨城

 農家で住み込みでアルバイトをしている組合員が不当解雇になったという案件で、茨城県で雇主と団体交渉を行なってきました。

 外国人労働者である組合員が昨年の暮れから、約2ヶ月ほど住込み兼職場である農家で、畑の農作業から作物の出荷作業の手伝いをしていました。ところが、ある日、重い荷物を運ぶ労務で体を壊しました。病院に診断してもらい、仕事を休ませてもらったJは体調が元に戻るまで仕事を休むつもりでした。少しは働けるようになって、朝の始業時間前に職場に出てみると農家の住人から「なに今頃出て来ているんだ」と言われ、これに抗弁して「昨日、社長は『この時間に出て来れば良い』と言った」と答えたのです。異なる指示を出した者に対して、結局どちらの指示に従えば良いのかわからなくなったのでした。そこで、当の社長も交えて口論になった末に「おまえはクビだ」と言われ、そのまま解雇となりました。
 
組合員は「解雇」となった後も、この農家の敷地にあるプレハブに寄宿しています。仕事も無いのに住込ませてくれる社長の厚意はありがたいところなのですが、如何せん、仕事が無ければ収入も無いので、このままだと次の働き口や住居を探すにも身動きとれない状態なのです。せめて、働く時間をはっきり決めてもらい、一時休業分の賃金補償と過去働いた分の残業代も出すような就労環境の改善がなされた状態で職場復帰したいというのが希望なのです。もし、農家が雇主側としてこの条件を呑めず、「職場復帰を認められない」というのであれば、とうぜん相当分の補償と手当をJに出さなければなりません。この職場は、「家族経営の農家だから…」ということでは言い訳になりません。

 労基法では、農業漁業の就労で“特例措置”になっているのは、「割増賃金制の除外」だけです。ですので、残業代や休業手当、解雇予告手当などが免除されるという訳ではありません。ましてや、就労させる際には「労働契約」を交わすことも、労基署に届け出た就労規則を労働者に提示することも他の業種となんら変わることなく人を雇用する時には必要な、雇用主の義務であることに変わりありません。

 そんなわけで団体交渉をしたのですが、詳しく述べられないのが残念です。それでも取り合えず、組合員Jの現状の寄宿場所は今まで通り保たれる事はお知らせいたします。この真冬の寒空で寒空に凍えるような事だけは避けることが出来ましたのでご安心下さい。