原子力企業○○は指揮命令をしていた作業員への雇用責任を果たせ!

当組合の組合員は、今年1月から○○県に本社がある有限会社××を通じて、福島第一原発の収束作業に従事してきました。ところが、実際に現場で日常的に指揮命令していたのは、東京に本社がある原子力発電所保守管理の大手企業である○○の社員でした。

組合員を指揮命令して働かせてきた○○社は、××社に仕事を発注している元請け会社ですから、本来的には指揮命令してはならない立場です。もし指揮命令下に置いて使用するなら、○○は組合員を直接雇用する責任があります。ところが○○社は、××社を間に通すことでその責任を逃れてきたわけです。

そして今月5日、××社は組合員に電話で解雇通告をしてきました。××側の説明によれば、○○社と××社との契約が10月末で切れるので、福島営業所を閉鎖するとのことでした。会社の寮に住んでいた組合員は、11月5日付で解雇されると同時に住居を失う危機に直面しました。

このような状況を踏まえて組合は、××社には、解雇撤回と交渉期間中の住居確保を求めて、○○社には、ごぼうさんの直接雇用を求めて、団体交渉を申し入れました。うち××社とは、10月26日にいわき市内で交渉を持ちました。その場で住居の確保は11月末まで約束させたものの、解雇の撤回には至っていません。

一方、○○社は交渉による問題解決を拒否しています。福島原発で当該作業員を使用していた事実があるにもかかわらず、雇用関係がない、などと開き直り、労働組合の交渉権限すら否定してきたのです。作業員を使えるだけ使い、使用者としての責任を果たそうとすらしないでいるのが○○の現状です。組合は○○のこの不当労働行為について、11月5日付で東京都労働委員会に救済を申立ました。

◆何が問題なのか
私たちの社会の労働環境は、重層的下請構造の下で株主や経営者、政府がとるべき責任を免れることが常態となっています。とりわけ原発は、幾次にもわたる下請け会社(協力企業!)を通して、作業員を柔軟に雇用し解雇できる仕組みを維持することで、都市貧困層原発立地地域住民など特定少数者に被ばくを強制して動いてきました。事故後の収束作業や将来の「廃炉」作業でもこの仕組みはまったく変わっていません。

今回の解雇問題によって、当組合の組合員をはじめとして××社を通じて働いていた作業員は、これからどうやって生活を維持するのか、別の仕事を探すのか、知り合いに頼みこむのか、など日々を問われることになってしまいました。

しかし本当に問われるべきは現場の作業員ではないはずです。雇用していた××社、××社を切った○○社、○○社を締めつけている東京電力、それを支えて原発を推進してきた経済産業省文部科学省、そこから配当を受け取ってきた株主たちです。

彼らこそ被ばくを強いられながら働いてきた作業員の雇用や生活に責任を持つべきです。私たちは真に問われるべき者たちを問いましょう。原発収束作業員が開始したこの闘いに支援をお願いします。