「秘密法廷」と化した勾留理由開示公判

愛宕・高輪救援会です。
9月25日に開廷された9.16弾圧「愛宕」「品川」に関する「勾留理由開示公判」のレポートが届きました。
法廷を指揮した有賀裁判長がどれだけヒドいことをしたのか詳細にわかると思います。ぜひご一読を!

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小雨の降る寒い日。9時半の傍聴券配布の締め切り時間ギリギリに到着。地裁前では大勢の仲間が抗議の声を上げ、行きかう人にチラシを手渡していた。
不当に拘束されている全員一緒の勾留理由開示公判を求めていたが叶わず、午前10時から430号法廷で「愛宕さん」と「品川さん」の2人の勾留理由開示公判が行なわれた。

10時直前、裁判所の荷物検査、身体検査に抗議。中にいるかもしれない「愛宕さん」「品川さん」に聞こえるよう「がんばれー」とみんなでコールを上げる。
荷物預かりに抗議し、中に入れない人たちが荷物を預かってくれる。中に入る人たちは職員に傍聴券を見せ、金属探知機をくまなくあてられる。
10時になっても法廷に入れず、理由説明もない。ほどなくして「弁護士接見中で遅れる」との説明があり、みな納得。30分ほど待たされている間、430号法廷の向かいにある428号法廷の小窓を開けた人が、中に制服姿の3人を発見。しつこく抗議の声を上げる。(こんなこと初耳、今度から必ず周りの法廷をチェックしよう!)

法廷の中に入り、着席。裁判官が入廷。外には50人?を超える人たちが仕事を休んだり万難を排して集まっているのに、隣や向かいの法廷も空いているのに、20席という最も小さな法廷で公判を行なう裁判所に対し、「広い法廷に変えてください」「外で入れない人がたくさんいる」と弁護士、傍聴人が求めたが、「愛宕さん」「品川さん」が入廷する前に裁判官は傍聴人2人に退廷を命じ、職員総がかりで引きずり出した。(10:38)
裁判官のひどい態度に弁護士も傍聴人も抗議すると、すぐに裁判官が1人に退廷を命じた(10:39)。
その後、弁護人が抗議するも裁判官はスルー。そしてまた1人(10:42)、また1人(10:43)と退廷させられ、20人しかいない傍聴人のうち、5人も退廷させられ、傍聴する権利を一方的に奪われた。許しがたい。
そもそも裁判の公開の原則(日本国憲法第82条)を無視するなんて憲法違反!

愛宕さん」「品川」さんが入ってきた! 2人の両脇に警察官ががっちり張り付いているので、抗議。
弁護人の前に2人を座らせるよう求めるも、裁判官はものすごい小さな声で、「弁護人は席に座ってください」「理由を述べる必要はありません」を繰り返す。慇懃無礼すぎる…。警察官を排除すれば、「愛宕さん」も「品川さん」も弁護人の前のベンチに座れるのに。

この時点で、検察官の請求に応じ勾留状を発付した石井とは別人であることが判明。有賀だという。
有賀裁判官は10:47から勾留理由を述べ始めた。
これに対し、弁護人は辻褄の合わない点、意味不明な点、言葉の意味内容など釈明を求めるが、有賀は慇懃無礼な態度で「お答えしません」「釈明はいたしません」「書いてある通りです」「お答えする考えはありません」と若干のバリエーションを変えつつも同じことを繰り返すのみ。
その合間に、「愛宕さん」「品川さん」の挙動に対しては逐一「座りなさい」だの「静かにしなさい」だの注意してくるから弁護人もついに「ちょっと、裁判に集中してください」とまで…。

有賀、「さきほどお答えした通りです」(答えてないのに!)「一切の勾留理由を述べる必要はありません」を繰り返す。
あの、勾留理由を教えろ、っていう公判なんですけど。

弁護人は何度も何度も求釈明をし、抗議し、を繰り返したが、慇懃無礼な有賀は決まった台詞しか発しない。有賀の不誠実極まりない態度に、弁護人も傍聴人もみんな、本当に、怒りに打ち震えていた。この間にも1人、退廷させられた。
意見陳述を促す有賀。公判を早く終わらせたくて仕方ないようだが、こっちだって早く取り戻したいんだよ!
「品川さん」は、証言台ではなく、傍聴席に向かって熱い演説を繰り広げた。10分を超える意見陳述。
続いて「愛宕さん」がベンチに座ったまま、「茶番だ。話にならない。まあ、ブルジョワ法の中ではこんなもんだろうけど」と話し始めた。
9月19日未明に参院本会議で可決・成立したとされる安保関連法案について「大手を振って金もうけする、戦争が可能になる」ものだとし、日本の侵略戦争も「邦人保護」から始まったこと、敗戦後の経済復興は朝鮮戦争によるものだと指摘、「金のために人が死んでいく」ことに反対しているのだと述べた。その、反対の意思表示をしている中で警察権力が異常な規制を敷き、人々が歩けない状況にしながらなぜ国会を守るのかと言えば、「それは権威だからだ」と。「権威よりも私たちの意思表示が優先されるべき、それを圧殺してきたのは主に警視庁」と批判した。
「茶番と暴力に支えられて強行採決されたのだと考えている」
警察による暴行のすえ麹町署に連行され、被疑事実も言われないまま監禁されたこと、弁護士が来ているにも関わらず接見させなかったこと、愛宕署での数々の暴行、リンチについても述べ、最後に、「でっちあげ逮捕だ。嫌疑なしの逮捕であり、勾留。被疑者補償を支払うべきだ」と締めた。

続いて、弁護人の熱い意見陳述。
時計ばっかり見ている有賀裁判官の不誠実な態度を散々批判してきた弁護人3人だが、最も強烈だったのは「権力の犬だ。恥ずかしくないのか」「恥を知れ」「あなたの心が腐ってたって、やるべきことはやってください」というもの。これに対し有賀は癇に障ったのか、「意見を述べることを禁じます」「これ以上言うなら書面で出せ」と言い、この後のことは混乱の中であまり記憶にない。有賀が「全員退廷」と言ったのかわからないが、職員が総出で私たち傍聴人全員を無理矢理退出させた。(12:20)
傍聴人は職員に抵抗しながら、思い思いに有賀裁判官を糾弾した。

その後、13時から司法記者クラブで会見。14時過ぎに1人解放との連絡が! 期待に胸ふくらませつつ、愛宕さん、高輪さんについての連絡を待った。
14:45頃には、愛宕11号、高輪5号も解放されたと確認でき、ひとまず、安堵。夜の集会は、「お疲れさま会」に変更だ!
(SS)