データ装備費返還訴訟第二回期日の報告

 グッドウィルデータ装備費返還訴訟の第二回期日は、11月12日、16時30分から、東京地裁722号法廷でした。原告側の傍聴者は30人ほど。今回は、26人の原告のうち6人が原告席に着きました。
 法廷で裁判長はまず、グッドウィル側の代理人の弁護士にデータ装備費の負担を求めたことに対価性はあったのか、つまり、何に使ったのかを明らかにしてほしいと求めました。

 この裁判官の質問は、グッドウィル側から12日付で届いた準備書面と関係があります。その驚くべき内容とは?
 グッドウィル側の準備書面には、データ装備費については負担を求める理由・動機は存在しても特定の使途というものはない(!)、といったことが書かれていました。
これを受けて裁判長は、データ装備費の負担に対価性はあったのか? つまり何に使ったのかを明らかにしてほしいと求めたわけです。
 裁判長はさらに、仮に合意の上だというなら、どういう説明をして、具体的にどんな合意をしたのかを明らかにするよう求め、そうしないと話が進まないとも発言しました。

 裁判長は、勢いに乗って、データ装備費を何かに使ったのなら、例えば、本当に福利厚生や保険などに使ったのならバランスシート(会社の資産状況を示す財務諸表)に載るはずだ、使途を明らかにしてほしいとも求めました。
 使途を具体的に示せ、というのはグッドウィルユニオン側が、団体交渉の席上で求めてきたことでもあります。グッドウィルユニオン側は、今日付の求釈明でも、データ装備費の使途と合意の内容を明らかにするよう求めました。

 さて、裁判の流れとしては、被告であるグッドウィルは、12月20日までに求釈明への答えを書面を出し、それを読んでグッドウィルユニオン側がさらに釈明を求める必要があれば求め、反論する――ということになります。
 ちなみに、12日付けでグッドウィル側から出された準備書面のなかには、ほかにもあきれるような主張が書かれています。
 要するにこういうことです。日々派遣される労働者というのは、日本の労働市場のなかでは流動化された労働力で、なにもグッドウィルで働かなくても競合する同業他社はたくさんある。データ装備費をとられるのが嫌なら、ほかのところで働く「完全なる自由」がある。ほかの会社でパートやアルバイトとして直接雇用でも働く「完全な自由」がある――。そういう問題か!
 それから、こんなことも。データ装備費を設定しなくてもデータ装備費に相当する金額分だけ賃金を低く設定すれば経済的には同様の効果がありより簡便であったのは確かである。被告会社がこのような方法によらなかったのは、同業者間では後発だった被告会社が同業他社のやり方をそのまま採用したからに過ぎない――。開き直るな!

 この裁判でグッドウィルユニオン側は、データ装備費について不当利得返還訴権と損害賠償請求権の両方、どちらの理屈を採用してもいい、と主張しています。
 グッドウィル側は、データ装備費は労働者との合意に基づいて徴集しただけで何が問題なのかということと、仮にこの合意が公序良俗に反していても、その分の賃金を払わなかっただけに過ぎず、時効により請求権は消滅していると、予想通りの主張をしています。
 弁護団の1人、小川英郎弁護士は、「今日、裁判官は、対価性がどうなのかというデータ装備費問題の核心を突く質問をした。この問題を具体的に検討していこうとしている姿勢の表れだ。不当利得だという実態をしっかり伝えるためにも、グッドウィルから受けた説明の内容など具体的な経験を伝えていこう」と語りました。

 次回期日は、12月27日(木)午前11時、705法廷(場所が今回とは変わります)。傍聴席を埋めて、関心の高さを裁判官に示しましょう!