シャノアールへの反論書

シャノアールへの反論2
全国でカフェヴェローチェなどを展開する株式会社シャノアールに以下の反論と質問を送りました。
反論の対象となっているシャノアールの回答書については、追ってみなさんにお知らせします。
とりあえずフリーター労組の回答を読んで、シャノアールがどんな回答をしたのか、想像しておいてくださいね。

2013年11月3日
東京都豊島区東池袋3−1−1
サンシャイン60ビル45階
株式会社シャノアール
代表取締役社長 中村 歩 様
総務人事部部長 小和田 二郎 様 

〒151-0053 東京都渋谷区4−29−4
西新宿ミノシマビル2F フリーター全般労働組合
TEL 3373−0180
FAX 03−3373−0184
共同代表 山口 素明
組合員 ○○

反論と質問
(貴社8月30日付「回答書」について)


ご回答ありがとうございます。
貴社8月30日付「反論書に対する回答」について当組合の見解と貴社への要求を示します。

(1)回答を誠実に行うこと

貴社送付の「回答書」は、当組合の6月30日付「反論書」について部分的にしか回答を行っていません。また回答いただいた項目についても、当組合の質問に対応しない部分があります。貴社は回答を行わない理由として、いくつかの質問項目について当組合に適格性がないかのように述べていますが、当組合が送付した「反論書」における質問項目はいずれも○○組合員の雇用・労働条件に深く関わるものであり、そのことは当該反論書でも詳細に説明した通りです。今後も、8月30日付「回答書」のように回答を正当な理由なく拒否するのであれば、労働組合法7条に抵触する違法行為とみなさざるを得ません。再度、各項目に関する当組合の立場を示しますので、誠実にご回答いただくよう求めます。


(2)貴社「回答書」を受けた当組合の質問事項について

1.「はじめに」について
当組合は、貴社2月28日付「1月30日付要求書に対する回答書」に対しこの項について11項目にわたる質問をいたしました。これに対し、貴社8月30日付「回答書」では8項目については回答いただきました。
まずご回答いただいた8項目について、それぞれ当組合の見解と要求を示します。要求については下線を付しましたので、お間違いなくご回答ください。

?○○組合員の「同期入社社員の退職率」
?○○組合員の同期入社社員、およびその1年後入社の性別累計退職率
についてご回答いただきました。

2月28日付回答書の中で貴社は「多くの社員が退職しているという分析があてはまらない」としていますが、今回お示しいただいたデータに表れたように、実に多くの社員が入社3年以内に退職する現実が明らかになりました。厚労省の「新規大学卒業者の産業別分類卒業3年後の離職率の推移」によれば、「宿泊業、飲食サービス業」における21年卒者の3年後離職率は48.5%ですが、貴社の21年卒(2010年度入社)社員の離職率は58.5%に達するきわめて高いものです。
さて、従業員が長く安全に安心して働ける職場を作ることで、この高い離職率を引き下げる必要性については、当組合と貴社は認識を共有しているものと考えています。貴社従業員は入社後、人事考課にもとづき「研修生」「セカンドアシスタントマネージャー」「ファーストアシスタントマネージャー」「店長代理」「店長」「地区長代理」「地区長」という職階に振り分けられていきます。貴社は21年卒社員の離職は、彼らが「所謂『ゆとり世代の第一世代』であり精神疾患罹患率が高い」ためであると主張していますが、組合は離職理由の大きな原因には「店長代理」「店長」の激務があると認識しています。離職率を引き下げるためにも職階ごとの離職率を把握し、取り組みを構想すべきであると組合は考えます。2009年〜2011年入社の社員について、各職階ごとの退職率をお示しください。

?貴社従業員の退職率が性別によって有意に異なる理由について貴社の考え
?従業員の退職を防ぐために貴社が行ってきた取り組み
についてもご回答いただきました。

同回答書で貴社は性別による退職率の異なりについて、従業員の結婚または出産が理由であると説明し、とりわけここ1,2年は結婚により事業所が存在しない地域に転居が必要になる退職が散見されていることを理由としています。2009年〜2011年入社の社員について、貴社事業所が存在しない地域への転居を必要とすることに伴う退職が占める割合についてお示しください。
そもそも結婚・出産を退職理由として示すことは、貴社の労働環境の問題を問わず、あくまでも従業員の側に理由があるという認識に貴社が立つものと考えざるを得ません。しかし本来、結婚や出産など従業員が経験する生活環境のさまざまな変化に対応して、柔軟に安心して働き続けられる環境を整備することは貴社の責務です。
貴社は退職防止策として ?育児のための短時間勤務制度を創設し運用している とのことですが、この制度は不十分であると言わざるを得ません。なによりこの制度の利用は育児休業復帰後の女性社員しか対象としておらず、結婚による生活環境の変化に対応するものではありません。また、育児休業後の男性社員は活用できる制度でもありません。社員が退職を選ぶのではなく自身の生活環境のあり方に合わせて働き続けられるようにする取り組みを貴社がどのように行っているのかお示しください。

また、 ?産業医によるカウンセリングを実施している とのことですが、産業医を置くことは貴社の法的な義務でありことさらに対策として述べるようなことではありません。問題はその質にあります。産業医は「事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をする」ことができる立場であり、労働者の安全衛生を保持するために重要な役割を持っています。だからたとえば産業医が、メンタルヘルスの不調の原因をしきりに私的な状況に求めようとしたり、「休みの日に動ける人を過労とは言わない」などと考えている人物であれば、適切な健康管理は不可能です。貴社が産業医を選定する際にどのような基準を設けたのかお示しください。

さらに ??マネージャー以下職位および店長の残業削減への取り組み ですが、残業を減らそうとする取り組みはすでに8月14日「抗議書」において当組合は貴社の姿勢を評価しました。しかし、貴社は根本的に貴社における残業問題を誤解されているように感じます。あとで述べますが、貴社は月単位の変形労働時間制を採用しています。そのことによって、一日15時間就労があれば6時間就労もあるなど、従業員は生活のリズムそのものが成り立ちにくい状況で就労しています。事実、○○組合員が精神疾患に罹患した主要な原因は、このような不規則な勤務形態が続いていたためであると診断されていることは貴社もご承知のはずです。従業員の健康を害する不規則な勤務形態を改善するために、貴社がいかなる取り組みを行っているのか、取り組みの具体的な内容についてお示しください。
また、店長の残業削減についても問題があります。貴社は40時間以内に残業時間を抑制することを努力目標としていますが、当組合が把握する限り、店長の中には業務の性質上、貴社の努力目標を達成できずに現在も過労状況にあるものがあります。店長の残業を40時間以内に削減する貴社の方針を達成するために、貴社がいかなる努力をしているのか具体的にお示しください。

?貴社における「ゆとり世代」の定義
ご回答いただいた出生年月日の範囲はわずか1年間でしかありません。この期間に出生した者に「ゆとり世代」を限定するのであれば、いったい第一世代とは何を指し、第二世代以降はどのように存在するのでしょうか。また、この期間に「ゆとり世代」を限定するのなら、そもそも○○組合員は貴社が定義する「ゆとり世代」に生まれておらず、ゆとり世代の第一世代には該当しないことになります。以上のように貴社回答を理解してよろしいのでしょうか。ご回答ください。

?「ゆとり世代の第一世代」について、「精神疾患罹患率が高くなっている」と貴社が判断した根拠
貴社は同回答書で精神疾患の罹患を理由に退職した社員が突出したことを、貴社産業医が示した統計データから判断したとしています。
つきましては産業医が貴社に示した統計データについてお示しください。また2009年〜2011年入社社員の離職者において、「離職理由が精神疾患の罹患である者」の離職者に占める比率を職階ごとにお示しください。

?「ゆとり世代の第一世代」について、「各社対応に苦慮」していると貴社が判断した根拠
人事担当者との情報交換の場とは何か。その場においていかなる情報が交換されたのかお示しください。

?貴社が定義する「ゆとり世代の第一世代」について、貴社が他の世代と比べてとってきた異なる対応と「苦慮」の結果
回答書は上司によるカウンセリングの機会を増加させることを具体的な対策としています。しかし、そもそも○○組合員が当組合に加入したきっかけは、上司からの「カウンセリング」と称した威圧的な指導であったことを貴社はご承知のはずです。貴社が精神疾患への罹患率が高いとする世代について上司のカウンセリングによって対応してきた、とするのであれば、カウンセリングを担当する社員については精神疾患についての専門的な知識、カウンセリング技術を備えさせたことと思います。カウンセリングを担当する社員に、精神疾患に関するどのようなカウンセリング技術の研修をいかなる形で行ったのか、貴社が担当社員に行った当該研修の内容と実施場所、日時についてお示しください。


また、以下の項目についての貴社の回答は到底回答と呼べるものではありませんでした。回答と呼べない理由について示しますので、あらためて6月30日付当組合「反論書」の同項目と合わせてお読みいただき下線部の質問にご回答ください。
?入社後2年間で「累計で入社人数の24%」が退職する理由についての貴社の見解
これについて貴社は「理由は様々です」と回答しています。
当組合は退職の理由がいかなるものであるのか、ということについて質問しています。その質問への回答が「理由は様々です」では回答になりません。あらためて2009年〜2011年入社社員の退職理由の構成比についてお示しください。

?「入社社員の90%以上が女性社員であることを考えると」なぜ多くの社員が退職しているという分析が当てはまらないのかについての貴社の考え
貴社の回答は「上記と同様です」とのものでした。つまり?への回答は「理由は様々です」ということになります。しかし、ここで当組合が質問したのは、「多くの社員が退職している」との組合側主張を失当であると貴社が主張する根拠です。「理由は様々です」では回答になりません。再度、組合側主張を失当とする根拠について貴社の考えをお示しください。

?行政のデータでではまだ比較ができる段階ではなににもかかわらず、貴社が「ゆとり世代の第一世代」が「各社退職率が高い」と判断した根拠
貴社回答は、「行政データ」を「特に入社後1年間の離職率については大いに参考になる数値です」というものでした。しかし当組合の調査では、2010年度入社の社員が、他の入社年度の社員と比較して1年後の離職率が有意に高いとするデータは存在していません。貴社が判断指標とした行政データをお示しください。


2.「アルバイト従業員の雇い止めの撤回」について
3.「月単位の変形労働時間制」について
4.「店舗スタッフの人員増」について
については、いっさいご回答いただけませんでした。
貴社はその理由として「契約社員、アルバイトの組合員の在籍確認」が取れていないことをあげています。しかし、当組合が上記3項目について質問をしたのは、いずれも貴社正社員である○○組合員の雇用労働条件に深く関わることだからです。たとえば、貴社が認めている通り、新任店長の労働条件に「アルバイト従業員の雇止め」の有無は深く関わります。○○組合員は店長候補として貴社に就業しているのですから、当然○○組合員の労働条件とも深く関わることは明白です。また、○○組合員は多くのアルバイト従業員と業務を共にしています。アルバイト従業員に契約社員への応募について問われた場合、貴社のこのような回答では、適切な応答ができるはずがありません。そもそも契約社員への登用制度が存在するのであればそれを明らかにすることに何の問題もないはずです。あらためて2.???への回答を求めます。
「月単位の変形労働時間制について」についても回答がありません。貴社が回答をしない理由は前項と同様に「契約社員、アルバイトの組合員の在籍確認」が取れていないということでした。○○組合員は契約社員でもアルバイトでもありません。にもかかわらず回答の必要がないのだとすれば、○○組合員は月単位の変形労働時間制の適用から除外されているということでしょうか。そうでないのならば、当組合の変形労働時間制に関する質問は、○○組合員の労働条件に深く関わるものです。
有給休暇の取得率についての質問も、○○組合員の労働条件に深く関わるものです。また、有給休暇に関してアルバイト従業員から質問があっても場合、貴社のこのような回答では、答えることができません。有給休暇の取得に関する貴社の2月28日付回答は「正社員からアルバイトに至るまで、有給休暇の取得はかなりの勢いで増加しております」という具体的な根拠を示さない曖昧なものでした。貴社の2月28日付回答を補足する資料として、従業員の有給休暇の取得の増加率に関するデータをお示しいただくよう再度求めます。

以上、ご検討の上、2013年11月13日17時までに郵送またはファクシミリで回答してください。また、ファクシミリでご回答の場合も後ほど回答を郵送してください。

以上